スキップしてメイン コンテンツに移動

お正月に死を思う:メメント・モリ

 昨年はいつにもまして天災や人災が多かった年だったような気がします。

 ビルマのサイクロン、中国四川省での大地震、北京オリンピックの問題、ロシアとグルジア、経済の問題、そして年をまたいでイスラエルとパレスチナ。
 特にチベットの問題に関しては、数年前に東京の護国寺で行なわれていたチベットフェスティバルで、チベットの置かれている状況は多少は知ったつもりでいましたが、北京オリンピック=中国に対する抗議行動によって入ってくる情報量が増え、チベット以外の自治区でも、国内の人権活動家に対してさえも、どれほど酷いことを行なっているのか、怒りと悲しみの感情が同時に流れ出てしまいそうです。今この時点でさえも拷問されている人々がいるのだろうと思うと…。

 そんなことを憂いながら大晦日より続けていた断食ですが、慣れていないせいなのか、体の蓄えがないからなのか、体を動かしすぎたのか、それとも単に体がわがままを言っているからなのか理由は分かりませんが、出来れば二日と思っていたものの、体力をかなり消耗してしまったようで、一日半ほどで中断、丑三つ時に何とか起き上がりおかゆを作って食べました。消化の良さそうなバナナも半分。人間はこうやって衰弱していくのだろうなと考えながら、無理やりお米をそしゃくさせ、半分食べ終えた所でそのまま横になって朝を迎えました。

 寝床より起き上がると体力はだいぶ回復したようで、苦行をされていたお釈迦様にスジャータが乳粥を捧げたという話がありますが、私もおかゆの存在をとても有難く感じました。いつかテレビで見たブータンのお寺の子供達の食事はほとんどおかゆだけで、それでも元気に動き回っていたので、人間はこんなもので十分なのだろうなと思ったことがまた頭をよぎります。

 体も動くようになったので少し外へ出かけようと歩いていると、公園で楽しそうに遊んでいる親子が何組もありこちらも嬉しくなっていましたが、いつもよく通る大通りでひき逃げがあったらしく真新しいお花が飾ってありました。

 日中の街やお店はまだ新年2日にもかかわらずほとんど平常通りなんですね。お正月という雰囲気もあまりなく。

 帰り道には近所のお寺へお参りに。閑散とした小さな境内では、卒塔婆がカタカタと鳴るだけで、お寺の人たちも初詣に行ったのかと思うほど人の気配はなく、扉の閉まったコンクリート造りのお堂にお参りをします。扉の横にあるガラス窓は何だろうとのぞいてみると、そこには顔を真っ赤にした閻魔大王がくわっと眼を見開きシャクを右手に座っていました。解説によると閻魔大王は人間で最初の死者であり、そのために人を裁くようになったそうです。閻魔帳には人間の行いが記されているといいますが、生きているうちに自分のページを見てみたくなりました。世間でいう大悪党よりも、こんなどうでもいい小市民の方が、実はいろんなことが書かれていたりして。

 西日が雲に隠され、光が弱くなると急に寒くなったように感じ歩いていると、光と陰のちょうど境目の光の方に、ねこがうずくまっていました。よほど眠いのか、それとも体が悪いのか、人の気配に薄目を開け、明るい緑色の瞳をちらっと見せただけで、ふたたび涅槃へ。

コメント

  1. くれぐれもお体には気をつけてくださいねっ

    自分は仕事でまる2日、寝れなかった&食べれなかった事がありますが流石に命の危機を感じました(苦笑)
    最初に食べた、ウィダーインゼリーの美味しかったこと!!

    返信削除
  2. どうも有難うございます。禅宗において“五観の偈”というのがあるのですが、人間は生きるために食べるのだと、食事の有難さを感じています。
    そんなことよりも、仕事中にはカロリーメイトとか携帯してください!

    返信削除

コメントを投稿

このブログの人気の投稿

飯盛山のニッコウキスゲ

飯盛山のニッコウキスゲ 想い出のニッコウキスゲは  自分の中の想い出のニッコウキスゲといえば、ビーナスライン、車山高原のニッコウキスゲだったのですが、シカに花芽を食べられてしまうようになってからは、ずいぶんと数が減ってしまいました。  その後あちらこちらでニッコウキスゲやアヤメがシカに食べられて、群落が見られなくなったという話をよく聞くようになり、柵を設けて植生を保護しているところも多いようです。尾瀬のニッコウキスゲもシカに食べられていると聞いていましたが、今はどうなのでしょうか。 大盛山のニッコウキスゲ  ここ、清里や野辺山の近く、八ヶ岳の東側にある飯盛山 (めしもりやま) は冬山も含めて何度か登っていますが、ニッコウキスゲが咲くのは初めて知りました。正確には飯盛山の隣の大盛山の斜面に咲くそうです。  梅雨の合間で、しかも標高が低くとても蒸し暑いのですが、1時間ほどかけて登り、鹿よけの柵の扉を開けると、ニッコウキスゲが山頂付近の斜面を埋めるように咲いていました。  登りの途中ですれ違った人から、黄色い絨毯になっているよと教えてもらっていたのですが、これほどの群落を見たのは初めてかもしれません。 ニッコウキスゲの丘 ニッコウキスゲ ニッコウキスゲ  このままずっと保護していけば、斜面の下の方まで黄色で埋め尽くされるのかと、そんなことを想像してみました。

DS検定★受験記

データサイエンティスト検定(リテラシーレベル) という検定を受験してきました。 DS検定★とも呼ぶそうです。 これは世の中にあふれるビッグデータなどをビジネスに有効に活用していきましょうという知識を問うもので、見習いレベルのものではあるのですが、IT関係全般のITパスポート、AIやディープラーニングなどのG検定と並んで、DX推進パスポートのうちのひとつです。 これまで、ITパスポート、G検定の順に勉強、受験してきましたが、DS検定★も機械学習やAIと密接な関係にあるので、この順番でよかったなと思っています。 実際の試験 試験はCBT方式で、自分で選んだ試験会場のパソコンを使って、自分のタイミングで始めます。これまで何度かこの方式で受験していますが、あまり気兼ねもなく楽でいいです。ただ、試験中に他の人の出入りがあるので、会場によっては気になります。また、早めに場所と日時を決めて申し込みをしておかないと、土日などはすぐに埋まってしまいます。 試験時間は100分で100問。見直しの時間はできたものの、最後の方は気力が萎えてきました…。 参考書 今回使った参考書は、 1.『合格対策データサイエンティスト検定[リテラシーレベル]教科書』(リックテレコム) 2.『徹底攻略データサイエンティスト検定問題集[リテラシーレベル]対応』(インプレス) 3.『最短突破データサイエンティスト検定(リテラシーレベル)公式リファレンスブック第3版』(技術評論社) で、1と2をメインに使って勉強しました。 今回の試験から試験範囲が新しくなり、それに対応したこと、1、2だけでそもそも試験範囲を網羅できているのかがいまいち不安だったことから、5月に出たばかりの3を追加しました。索引や参照がよく分からないものもありましたが、1、2で理解があやふやだったものが少し分かるようになったものもありました。あとは、ネットの模擬試験(100問)が試験までに間に合ってくれてよかったです。 勉強はこの3冊をやっておいてよかったなと思います(合格の基準が分からないので、まだ合格したのかどうだか分かりませんが…) Python こんな感じで勉強をして、DS検定★を受験してきました。 これまでの検定とは関係なく、RaspberryPiでPythonを少し触ったりしていたので、今度はそちらももう少し分かるようになりたいなと思...

魚料理ほか

魚料理ほか ごまさばの生姜焼き  干物はよく食べたりしていますが、生の魚を調理するのはなんだか久しぶりです。  ごまさばが安かったので買ってきました。単純に塩焼きでもよかったのですが、ちょっと変わったものがないかとネットを探していたら、生姜焼きというのがあったので作ってみることにしました。  塩をふって、小麦粉をまぶして焼き、生姜、酒、みりん、醤油をかけながら焼けば出来上がり。魚は意外とあぶらが乗っていたのですが、さっぱりとしておいしかったです。 ごまさばの生姜焼き 冷凍バナナ  冷凍バナナは子供の頃に食べた懐かしい記憶がありますが、最近はアイスを買うのをやめ、冷凍バナナにしています。  ゼリーなどを作るときに、砂糖の量にびっくりしてしまい、きっとアイスにもかなりの量の砂糖やいろんなものが入っているんだろうなと思いつつ、好きで食べていたのですが、暑くなってきてバナナの熟し方が激しくなってきたので、久しぶりに冷凍バナナを作ってみました。すると、とても甘くておいしかったので、いっそのことアイスをやめてバナナに置き換えてみました。子供の頃と比べて最近のバナナは全体的に甘い気がするので、それで冷凍しても甘くておいしいのかもしれません。  バナナは適当な大きさに切って冷凍しておき、そのままで食べたりもしますが、よくヨーグルトとハチミツをかけて食べています。冷たいバナナが食べているうちにやわらかく溶けてきて、とてもおいしいです。 猛暑  連日の猛暑で、気温に対する感覚がおかしくなっている気がします。夜になっても30℃あるのは普通だし、日中も35℃ないとそんなに暑くないのではないかという気になってしまいます。クーラーをつけていないともうやっていられないのですが、それで風に当たりすぎてしまったせいか、体調不良になってしまいました。  そういえば最近は聞かなくなりましたが、電力の逼迫状況などはどうなのでしょう…。 スズメバチ  去年、玄関脇にアシナガバチが巣を作って駆除してもらったのですが、今年はキイロスズメバチっぽいものがうろうろしていました。単独行動っぽいのですが何度も刺されるわけにはいかないので、去年買っておいた蜂用の殺虫剤を使いました。さすが蜂用だけあって強力で、飛んでいたのが地面に落ちましたが、それでもまだ動いている生命力の強さ。