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福島菊次郎氏の遺す言葉


 伝説の報道写真家といわれている、福島菊次郎氏の講演『遺言part2』(聞き手はフォトジャーナリストの山本宗補さん)と、同時に開催された写真展へ(東京府中市)。

 福島さんは1921年生まれの87歳。戦時中は6日違いで広島の原爆に遭わず、九州で爆弾を抱えて米軍に特攻する訓練中に戦争が終わり、同級生は半数以上が亡くなったそうです。
 戦後、広島で被爆された中村杉松さんに頼まれるようにして撮影し続けた『ピカドン』をきっかけに、プロの写真家として上京され、20年間、戦争責任、自衛隊と兵器産業、戦争遺児、学生運動、三里塚闘争(成田空港)等々、報道写真家としての仕事を精力的にされていました。
 その後東京を離れ、現在は写真を補足する意味で執筆活動をされています。体調を悪くされ体重は35kgにまで落ち込んでいらっしゃるそうですが、遠路はるばる講演に足を運んで下さり、数百人の前で3時間にも及ぶお話をして下さいました。

 今までテレビや新聞等いろいろな人の言葉を聞いてきた中で、これほどまでに日本の国を憂いている方には初めてお会いした気がしています。実際に戦争を体験し、日本の中で起こってきた様々な問題と人生の一部分を共にされていたために、その思いが増しているのだろうかと思います。
 天皇の戦争責任や自衛隊や兵器産業等の問題を報道したため、反体制とか非国民とか呼ばれることがあるそうですが、福島さんもこの日本を愛している一人の人間に変わりなく、また愛するが故に子供や孫や続く世代に戦争をさせることがなく、幸せでいて欲しいと願っているのだと解釈しました。
 憲法改正法案が通って三年間の猶予の後(来年)、もし9条を含めた憲法が改正されることがあれば、自衛隊を軍隊として正当化させ徴兵を始めるだろう、また言論を封殺するような法律(共謀罪等もこれに当たるのでしょうか?)も同時に作るだろうと福島さんはおっしゃいます。そして福島さんご自身も過去になさった仕事で捕まり、ご高齢で刑務所に入れられることや、自分を支えてくれた方達に対するけじめとして、自ら命を断つことを決めているということでした…。
 福島さんが命をかけて訴えてこられたことの重さ、そして来年の今頃はもはや聞くことが出来ないかもしれないこの遺言を、深く考えていかなければならないと思います。

 講演とは別の会場で行われていた写真展の会場では、モノクロームのパネルが壁一面に展示され、最初に目に入ってきたのは、戦艦陸奥から引き上げられたという真っ黒な頭蓋骨に白い歯が数本残っている遺骨の写真でした。戦争遺児、隠し撮りもしていたという自衛隊や兵器産業、最前線にいたのではないかと思われる学生運動、そして原爆の『ピカドン』等々、解説文を読みながら戦後の日本社会の闇を感じていました。


最後にパンフレットに載っていた言葉を。
「勝てなくても抵抗して、未来のために一粒の種でもいいから蒔こうとするのか、逃げて再び同じ過ちを繰り返すのか…」

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