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パレスチナのNAKBA

 長崎で原爆慰霊祭が行われているちょうどその頃、記録映画『NAKBA』の鑑賞会へ行っていました。

 この映画は、約40年前フォトジャーナリストの広河隆一氏がイスラエルの共同体キブツダリアで過ごしていた頃、偶然目にした瓦礫の光景が出発点となっています。キブツダリアの近くにあるその瓦礫は、かつてパレスチナの人々が生活していた土地でしたが、イスラエル建国に伴ってその村は破壊され、他人の所有地となっています。(破壊された村の跡地に建てられた新しい村には、ホロコーストから生き延びた人達が住んでいた所もあるといいます。)

 広河氏は古い地図に記されていたこのダリヤトルーハという村、そこに暮らしていた人々を何年もの月日をかけて探し、そしてその間にもパレスチナ・イスラエルの間では様々なことが起こりましたが、今なお難民キャンプで生活するダリヤトルーハの方達の証言をビデオに収めています。

 そしてそれらのパレスチナの人々の証言、またイスラエル兵の証言などから、1948年、イスラエルは建国で土地を広げる際にパレスチナ人の町や村を破壊し、住民を虐殺したという事実があり、パレスチナ人達はそのことをNAKBA(大惨事)と呼んでいるそうです。

 このNAKBA、パレスチナ人を強制的に追放するやり方に対しイスラエルの中でも問題視する人達が存在し、抗議活動を起こしたり、海外で講演したりもしています。


 この記録映画『NAKBA』は広河氏が40年間撮り続けてこられた膨大な数の写真、膨大な時間の映像のごくごく一部だそうで、現在DVDで約30枚、時間にして40〜50時間のアーカイブス版(完全版)を製作されているそうです。

 歴史から消し去られてもおかしくないようなこのNAKBAという事実。アラブ人、ユダヤ人、イスラエル、パレスチナ、双方の証言を、かつての少女が子供を持つ親になっているほど長い期間に渡って記録されてきたことは、ただそのことだけを見ても、とても意義のあることなのだと思います。


 映画の中の一場面(予告編でも出てきます)、イスラエルが築いたバリケードの先頭に立ち、ブイサインの右手を高らかと突き上げ毅然と前を見据えている女性、対面している若いイスラエル兵士の怯えてうろたえているような困惑しているような不満そうな表情がとても印象的でした。

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