映画「サラエボの花 GRBAVICA」を見てきました。 今から十数年前、紛争のただ中にあるボスニア・ヘルツェゴビナ、グルバヴィッツァ地区で組織的になされた、民族浄化という名の下での多くの女性へのレイプ、そして出産。主人公のひとり母親のエスマもその被害者で、産まれて欲しくはないと一度は願いながらも、産声が聞こえ、抱き上げた時にはもう離さないと決めた娘サラ。 監督が「これは愛についての映画である」というように、物語では母と娘の溝は深まりながら、そして困難を克服し愛情はより深まっていくことを感じました。「サラエボの花」とはどんな花なのかと思った時に、絶望的な廃墟のあちらこちらの隅で育まれていく、このような愛情のことなのだと思いました。 (旧ユーゴスラヴィア、ボスニア・ヘルツェゴビナの時代背景なども映画のサイトに書いてあるのでそちらをご覧下さい。) ※ 『サラエボの花』は2006年のベルリン国際映画祭で、グランプリである金熊賞を受賞しているそうです。 サラエボから南へと地図を辿ると、地中海にはキプロスがあり、中東があり、そしてアフリカ。今から十数年前、100日で100万人虐殺されたとも言われるルワンダ紛争、そして現在も続いているダルフール紛争、、、それらのことを考えると心が重く沈みこみますが、それでもなおこれらの地が少しでも早く愛情の花で満たされることを信じていたいと思います。