雪国への旅
柏崎の朝 夢の中で夢を見ていた。寝苦しい夜が明け、部屋のカーテンを開けると、柏崎の街は白く雪に覆われていた。米山も見えていたが、出発の支度をしているうちに、雪―もしくはあられだろうか―が降り、近くの町並みさえ霞んで消えてしまった。
昨晩買っていたパンを頬張り、急ぎチェックアウトを済ませる。駅はホテルの目の前にあるが、アスファルトにうっすらと積もった雪に足をとられそうになる。
日本海を走る 風の影響で電車は少し遅れていたが、駅のプラットフォームで冷たい風に吹かれながら待っていると、やがて顔に雪をかぶった車両がやってきた。
電車に乗り込み、足元のヒーターの暖かさを感じながら、車窓を流れる、昨日より穏やかな海を眺めていた。佐渡は今日もなかった。波打ち際に打ち寄せる波のしぶきが、もやのようにわき上がっていた。
雪はもうやんだかに思っていたが、少し内陸を走っていると思ううちに、窓の外は白くなり、止まった駅には雪が積もっていた、何時間も電車に乗っている訳ではないのに、天候は次々に変わっていく。
再び遠目がちに海が見えるようになり、開けた空の向こうに白い山が見えてきた。北アルプスの北の端に当たるのだろうか、それとも富山の山なのだろうか。川を渡ると直江津の駅に着いた。
次は長野駅に向かってここで乗り換える。私の乗る電車はプラットフォームの反対側に待っていたが、駆けるようにして階段を上っていく人達もいた。
日本海から内陸へ 直江津駅から信越線に乗り南に向かうと、風景はがらりと変わった。空はすっきりと晴れ渡り、さわやかな朝日の光が降り注ぐ。照らされた雪の形から、このあたりにはおそらく田園風景が広がっているのだろう。
次は長野駅に向かってここで乗り換える。私の乗る電車はプラットフォームの反対側に待っていたが、駆けるようにして階段を上っていく人達もいた。
日本海から内陸へ 直江津駅から信越線に乗り南に向かうと、風景はがらりと変わった。空はすっきりと晴れ渡り、さわやかな朝日の光が降り注ぐ。照らされた雪の形から、このあたりにはおそらく田園風景が広がっているのだろう。
車窓の右手には、雪に覆われた高い山―おそらく妙高山だろう―が聳えている。電車がぐるりと大きなカーブをまわると、走ってきた2本のレールが見えるが、ほとんどが雪に覆われた銀世界の風景が広がっていた。
黒姫高原、野尻湖、戸隠、名前だけ知ってはいるが、どんな土地なのだろうか。一度訪れてみたいものだ。
峠を越える 人家や工場とおぼしき建物が多くなってきたと思っていると、まもなく長野駅に着いた。ここで篠ノ井線に乗り換え松本に向かう。時間はちょうどお昼前。駅そばを手にし、まだ止まっている車内で食べている人達がいた。だしの美味しそうなにおいが漂ってくる。
走り出した電車はやがて川中島駅に着いた。このあたりがかの有名な合戦場の跡なのだろうか。川は見えないが、大きな中洲のような場所なのだろうか。そんなことを考えているうちにも電車は走り出し、いろいろな考えや思いは置き去られていくようだ。
そして、だんだんと街並みを下に見るようになり、気が付けばずいぶんと標高が高くなっていた。頂上とおぼしきところで一度止まって少し戻る。スイッチバックした先にあったのは姨捨駅の開放的なプラットフォームで、長野の街並みを遠くに一望できる展望台となっていた。電車の行き違いをするために少し時間があり、車両のドアを開け、雪の上に降り立つ。暖房で少し暖まりすぎた体に、冷たい空気が心地よい。遠くの山々までよく見通すことができる。
峠を越える 人家や工場とおぼしき建物が多くなってきたと思っていると、まもなく長野駅に着いた。ここで篠ノ井線に乗り換え松本に向かう。時間はちょうどお昼前。駅そばを手にし、まだ止まっている車内で食べている人達がいた。だしの美味しそうなにおいが漂ってくる。
走り出した電車はやがて川中島駅に着いた。このあたりがかの有名な合戦場の跡なのだろうか。川は見えないが、大きな中洲のような場所なのだろうか。そんなことを考えているうちにも電車は走り出し、いろいろな考えや思いは置き去られていくようだ。
そして、だんだんと街並みを下に見るようになり、気が付けばずいぶんと標高が高くなっていた。頂上とおぼしきところで一度止まって少し戻る。スイッチバックした先にあったのは姨捨駅の開放的なプラットフォームで、長野の街並みを遠くに一望できる展望台となっていた。電車の行き違いをするために少し時間があり、車両のドアを開け、雪の上に降り立つ。暖房で少し暖まりすぎた体に、冷たい空気が心地よい。遠くの山々までよく見通すことができる。
その後電車は、雪のほとんどない、見慣れた田舎の風景を走っていく。松本の駅もあと少し、次に車窓の右手に見えてきたのは、遠く雪化粧をした北アルプスだ。電車の下を流れている川は安曇野の犀川。線路と川の間を走る道路には雪の気配すらなく、聞くところによれば、松本はそれほど雪は降らないそうで、さながら、国境の長い峠を越えるとそこにはまだ秋の気配が残っていた、といったところだろうか。
松本の街 初めて訪れた松本の駅前は、とても活気があった。ホテルのチェックインにはまだずいぶん早かったが、準備が出来ていたので、鍵を受け取り部屋に入る。荷物を下ろし窓辺に向かうと、眼下には松本駅があり、行き交う人々と、プラットフォームには入線してくるいろいろな電車が見える。あれは急行あずさ、向こうは上高地方面に向かう電車だろうか。奥にある北アルプスの山並みが近く感じられる。
ホテルを出て昼食をとり、松本城に向かった。国宝の松本城は、なるほど美しい姿をしていた。澄んだ空をたくさんの鳩が無秩序に飛び交う。正月を控えているため、城の門は閉められ、中へ入れなかったのが残念だ。
開智学校や司祭館の建物は、明るい色調で調えられており、異国の雰囲気を感じさせるものだった。城下町の街並みを見ながらホテルへ帰る途中、5HORN(上高地五千尺ホテルグループ)でコーヒーとケーキをいただく。日陰に入ると風が冷たい。
ホテルの部屋に戻りテレビをつけると、鉄道貨物の番組をやっていた。そういえば松本へ来るまでにもコンテナ貨物と何度かすれ違っていたことを思い出す。
松本の夜
明日は旅の最終日。時刻表をめくり、街を歩きながら考えていた行程を調べてみるが、目的地近くの駅までは行けても、そこから先が困難だとわかり、行き先からあらためて考えなおす。ようやく目処が立った頃には、窓の外はすでに暗くなっており、駅へ向かい食事をとり、朝食用のパンを買う。さすがに夜は冷え込み、駅の温度計は1℃を示していた。
駅ビルではやはり長野だけあり、リンゴがたくさん売られていた。ピンクレディという初めて聞く名前のものが売られていたので、ついつい買ってしまう。旅の途中で食べることはなく、とうとう家にまで持って帰ってしまったが、少し強い酸味の中に甘さが感じられる、リンゴ本来の味が感じられるような美味しいものだった。
松本の夜
明日は旅の最終日。時刻表をめくり、街を歩きながら考えていた行程を調べてみるが、目的地近くの駅までは行けても、そこから先が困難だとわかり、行き先からあらためて考えなおす。ようやく目処が立った頃には、窓の外はすでに暗くなっており、駅へ向かい食事をとり、朝食用のパンを買う。さすがに夜は冷え込み、駅の温度計は1℃を示していた。
駅ビルではやはり長野だけあり、リンゴがたくさん売られていた。ピンクレディという初めて聞く名前のものが売られていたので、ついつい買ってしまう。旅の途中で食べることはなく、とうとう家にまで持って帰ってしまったが、少し強い酸味の中に甘さが感じられる、リンゴ本来の味が感じられるような美味しいものだった。
【行程】
・柏崎駅→直江津駅→長野駅→松本駅
・柏崎駅→直江津駅→長野駅→松本駅
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