今年も桜の季節の秩父へ行く。すでに散っている桜もあるようだが、花の咲き方は場所と日にちでずれるので、今年はどんな桜に出会えるのか楽しみだ。 まずは秩父札所29番の長泉院。お寺の入り口のエドヒガンは、今年もほとんど散っていたが、境内のしだれ桜や水仙やツツジなどがとても鮮やかで綺麗だった。 次は清雲寺。ここのエドヒガンもほぼ散っていたが、しだれ桜などがとても綺麗だった。大きなしだれ桜とお堂のある風景がとても好きだ。人はそれなりに訪れていたが、しばらく待つと人通りが切れる時間があるので、その時を狙って写真に収める。 清雲寺の隣にある若御子神社では、すっきりした境内に咲く桜(ソメイヨシノ?)と、舞台や狛犬(山犬?)との組み合わせが美しい。 最後に訪れたのは、清雲寺から少し離れた場所にある昌福寺。 ここは震災の年に初めて訪れ、その時も花々はよく咲いていたが、今回はその時にもまして、すべての花々が一時に満開になったのではないかと思われるほどの、まさに百花繚乱の景色だった。これ以上ないほどの、よい冥途のみやげになった。この風景をまざまざと心に刻むことができれば、他には何もいらない。 人心が廃れた世の中にあっても、このような情景を美しいと感じることのできる何かが、すべての人間の心にカケラでも残っていれば、少しは希望のある世界になるのではないかと思うし、また、ヒトという生きものが、地球上で少しばかり長く存続できるのではないかと思う、そんな春の秩父観桜紀行であった。