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秋の硫黄岳(八ヶ岳)

南八ヶ岳の硫黄岳へ

北アルプスから帰ってきて2週間、山への熱がまだくすぶっているので、秋の八ヶ岳の硫黄岳へ行くことにしました。

夏沢鉱泉からオーレン小屋

諏訪方面から車を走らせ、8月に登った天狗岳の登山口である唐沢鉱泉へは、道路を道なりに走りますが、今回は途中から林道に入っていきます。しばらく走り、桜平という駐車場に車を置き、準備を整えまずは夏沢鉱泉へと歩いていきます。一度下って川を越え急な坂を登っていきます。このあたりは車も通れる道で(一般車は入れません)、そのうちなだらかな林道歩きとなり、そのまま歩いていくと夏沢鉱泉へ着きます。
 夏沢鉱泉からは川を右に見ながら登っていきます。途中からは車の入れない山道となり、なお登っていくと、オーレン小屋の前に出ます。

硫黄岳(八ヶ岳)
夏沢鉱泉

硫黄岳(八ヶ岳)
登山道からの光景。雨のせいか荒れています。

硫黄岳(八ヶ岳)
湿った登山道

硫黄岳(八ヶ岳)
オーレン小屋

夏沢峠

オーレン小屋には水場がありここで休憩。山の冷たい水を飲むと生き返る気がします。小屋からは木々に覆われた薄暗い道を登っていき、やがて空が明るくなると、ほどなく夏沢峠(2,440m)に出ます。ここからは東側の景色が眺められます。この夏沢峠から北が北八ヶ岳、そして南が南八ヶ岳という分け方があるようです。実際に山を歩いてみても、北の方は比較的なだらかで山頂まで木々に覆われた山が多いのに対し、南側は岩がむき出しの荒々しい山が多いように感じます。
峠からは右(南)方向へ。道の両側に小屋があり、その間を通って歩いていきます。小屋の脇を下っていけばまた別の登山口(本沢温泉方面)へと行けるようです。
平地ではまだ夏の名残がありますが、ここはもう気温も低く、木々も紅葉し、秋がかなり深まった印象をうけます。

硫黄岳(八ヶ岳)
オーレン小屋からの登山道

硫黄岳(八ヶ岳)
夏沢峠の小屋。このあたりから下に降りれば本沢温泉方面へ。

爆裂火口

八ヶ岳連峰は火山です。本やネットの情報だと、過去の噴火の実態はよくわからないようですが、火山だったことは間違いなく、北の方にある横岳(北横岳)は数百年前に噴火したと考えられているようです。
これから目指す硫黄岳の北側は爆裂火口とよばれる噴火のあととなっていて、山はばっくりとえぐれ、その脇に沿うようにして登山道が作られています。私たちは南へ向かい左手にその火口を見ながら歩きます。このあたりからはもう高い木もなくなり、ここを登り切ると火口からは少し離れ、大きなケルンのある西側の斜面を登っていきます。

硫黄岳(八ヶ岳)
このあたりも火口の跡?

硫黄岳(八ヶ岳)
来た道を振り返って。右の青い建物のあたりが夏沢峠。

硫黄岳(八ヶ岳)
木は生えていません

硫黄岳(八ヶ岳)
左側は爆裂火口

硫黄岳(八ヶ岳)
急にガスに覆われてしまいました。道標のケルン。

硫黄岳(八ヶ岳)
爆裂火口

硫黄岳(八ヶ岳)
火口の縁を歩いていきます

硫黄岳

火口の脇を登りながら、その縁ギリギリまで行って下を覗き込んでる人がいて、突風が吹いたら落ちてしまうんじゃないかと、見ていると冷や冷やしてしまいます。最後の登りを登り切ると、だだっ広い丘のような河原のような不思議な光景が広がり、ここに硫黄岳山頂(2,760m)の看板が立ててあります。ガスで視界はあまりありません。来た道を振り返ると、その右側から火口の縁に沿ってずっとロープが張ってあり、足場が崩れやすいため、火口へは近付きすぎないようにと警告されています。
この山頂で遮るものは何もなく、冷たく強い風が吹きすさんでいます。南側には横岳から連なる南八ヶ岳の核心部の山々がそそり立ちますが、今日は山の上の方はほとんどガスに隠され、時折ガスの切れ間から荒々しい岩肌が見えるくらいです。
風に当たって体が冷えるので上着を着直し、今度は横岳との鞍部にある山小屋を目指して、核心部の山々に向かうように下っていきます。

硫黄岳(八ヶ岳)
硫黄岳山頂

硫黄岳(八ヶ岳)
八ヶ岳の核心部もガスで覆われ

硫黄岳山荘

斜面を下りきって平らな道を歩き目指していた山小屋、硫黄岳山荘に到着しました。外のベンチでは相変わらず冷たい風が吹いていますが、持ってきていたガスもちゃんと火がつき、お湯を沸かして、ラーメンを食べているとやっと体が温まってきました。少し休憩して硫黄岳の山頂へと戻ります。

硫黄岳(八ヶ岳)
硫黄岳山荘(横岳方面)へ下る道とケルン

硫黄岳(八ヶ岳)
硫黄岳山荘

硫黄岳(八ヶ岳)
ガスが取れ核心部の山々が見えてきた。左のギザギザした横岳から赤岳と雲に隠れた阿弥陀岳

硫黄岳(八ヶ岳)
硫黄岳山頂の爆裂火口。硫黄岳の実際の山頂は写真の奥の方にあるようです。

硫黄岳(八ヶ岳)
硫黄岳山頂の広い河原のような風景

赤岩の頭

再び硫黄岳の広い丘に戻ってきました。まだまだ風は強いです。ここからは来た道とは違う道を使ってオーレン小屋まで下ります。
赤岩の頭とよばれる場所に着くと、八ヶ岳の核心部を覆っていたガスが薄くなり、横岳、赤岳、阿弥陀岳の威容が目の前に広がります。時を忘れしばらく眺めていると、またガスが濃くなってきたので、もう景色は諦めて帰ることにしました。
赤岩の頭の分岐点からは右(北)へと下りていきます。細い道を下っていると、下から登ってきた人たちとすれ違いました。
オーレン小屋まではずっと下りで、疲れているからなのか、道はけっこう長く感じます。硫黄岳の山頂からは、来た道を帰るのと、この道を通るのとでは、地図のコースタイムはほぼ同じでしたが、来た道を帰った方が体は楽だったのではないかなどと思いつつなおも歩き続け、足も疲れてきたころ、どこからか音楽が聞こえてきて、ようやくオーレン小屋のテント場に出てきました。

硫黄岳(八ヶ岳)
赤岩の頭付近からの南八ヶ岳核心部

硫黄岳(八ヶ岳)
山々はガスに隠されてしまいました

硫黄岳(八ヶ岳)
赤岩の頭の分岐

硫黄岳(八ヶ岳)
赤岩の頭からオーレン小屋へ向かう道

硫黄岳(八ヶ岳)
オーレン小屋へ…

硫黄岳(八ヶ岳)
オーレン小屋

オーレン小屋の水を飲んで生き返り、夏沢鉱泉、そして駐車場へと戻ってきました。

硫黄岳(八ヶ岳)
登山道脇の川

硫黄岳(八ヶ岳)

山はもう秋

高い山の上は秋真っ盛り、そればかりかもう冬に向かっているようでした。ガスに巻かれ、冷たい風は気を付けていないと体温を奪い、山の厳しさを感じた山行でした。

2016年9月下旬 硫黄岳(八ヶ岳)
同行者:Aさん

コメント

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